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最高裁判所第三小法廷 昭和48年(オ)739号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人千葉保男、同上野伊知郎の上告理由第一、一について。

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解又は原審の認定にそわない事実に基づき原判決を非難するにすぎず、採用することができない。

同二について。

妻の家事労働が財産上の利益を生ずるものであり、これを金銭的に評価することが不可能といえないことは、当裁判所判例(昭和四四年(オ)第五九四号同四九年七月一九日第二小法廷判決・民集二八巻五号八七二頁)の示すとおりである。これと同旨の見解に立つて、被上告人が本件事故による負傷のため家事労働に従事することができなかつた期間について財産上の損害を被つたものとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に基づき原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判官 天野武一 裁判官 関根小郷 裁判官 坂本吉勝 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己)

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